ウサギの診療講座 兔の過長歯の処置
02年.9月号NJK(ペットメデカル社)寄稿 一部改正
今回はウサギの過長歯の処置について・切歯、・臼歯についてお話します。ウサギ の歯について始めて勉強される方は11月号(ウサギの歯について)を参照されると良 いでしょう。
切歯(門歯)の過長
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写真1 マイクロモーター(オサダメディカル製)のダイアモンドデスク(f-26) |
原因・先天的には遺伝や、臼歯が悪いばかりに切歯が不正咬合をおこすこともありま す。また硬い餌、物を咬むことにより後天的にも発生します。 診断・視診でおこないます。 処置・ニッパでの切除は過度な力がかかり、どうしても根尖を痛めてしまい、不正咬 合の悪化を招きます。また縦に割れ、歯随が露出してしまい感染を招く危険もあります。私は根尖に負担のかかりずらい、マイクロモーター(オサダメディカル製)のダ イアモンドデスク(f-26)(写真1)を使用して、丁寧に切断しています。ウサギの 大きさにもよるが歯随を露出しないよう、歯肉から1-1.5cm位のところを切断してい ます。回転数は3000回転を使用しており、念のためアイスの棒を口腔内にいれ、マイ クロモーターによる事故をおこさないよう気をつけています。 |
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写真2 マイクロモーターのダイアモンドデスク(f-26)で歯随を露出しないよう、 歯肉から1-1.5cm位のところを切断しているところ。 |
殆どのウサギは麻製の 猫袋・サイズM(寿々屋製)に入れて切除は可能です。(写真2) |
| どうしても機械の音 に過敏なウサギはイソフルレン麻酔をかけて行っています。 予後・文献によれば不正咬合の兔の切歯は常生歯で月に4mm伸びると言はれてます 。食欲などを考慮して、1-2ヶ月に1回の切除が必要です。 |
臼歯の過長
原因・先天的には上顎、下顎の大きさが不均等など遺伝でおきます。また不適切な餌 でもおきます。
症状・涎が多い、食べようとするが食べない。野菜など軟らかいフードしか食べない 。餌が入っていないのに歯ぎしりする。咬み方がおかしい場合もあります。 診断・耳鏡で口腔内の検査をします。流涎が多いときは臼歯の不正がまずありますので、次にイソフルレン麻酔下にて処置を含めておこなうことを薦めます。前臼歯の不 正咬合は慣れてくると、この耳鏡で口腔内の検査で診断可能です。頭部レントゲン検 査(右下、左下、背腹、正面)の4方向の写真を撮ります。
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写真3 イソフルレン麻酔の導入(詳細は6月号参照) |
今回は最もよくあるパターンで下顎の臼歯が内側に入り、舌炎を起こし食欲不振で 来院した3才・雄・ダッチ種のケースを紹介します。まず耳鏡による口腔内の検査で 多量の涎が確認されました。 前号(6月号)で示したように注意深くイソフルレン麻酔をかけます。(写真3) |
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写真4 外科的麻酔期に入ったら、手作の小さなマスクを鼻にかけて麻酔維持をす る。 |
外科的麻酔期に入ったら、鼻のみに小さなマスクをかけます。(写真4) |
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写真5 手前・ウサギ専用の開口器(モリタ製作所製)、 奥・開創期(津川洋行製)大小あ り・。 |
ウサギ専用の開口器(モリタ製作所製)もありますが、私は、開口器に小動物用の 開創期(津川洋行製)を使用しています。(写真4,5)少人数でこの処置を行うときは 開口器は必需品です。狭い口腔内の視野の確保が楽に行なえます。すべて臼歯の状態 を確認します。 ウサギ専用の開口器だと麻酔が浅くなって暴れたとき、口が固定されてたため、切歯を損傷した報告があり 開創期を使用しています。 包帯を上顎と下顎のかけて助手に兎の口を開き、口腔内の処置をしている動物病院もあります。 |
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図1 ウサギは不等顎種であり、上顎が広い。下顎の臼歯が内側に伸びて舌炎を、上 顎の臼歯が外側に伸びて頬に炎症をおこすことがよく視られる。 |
ウサギは不等顎種であり上顎が広い。一般的に下顎の臼歯が内側に伸びて舌炎を、 上顎の臼歯が外側に伸びて頬に炎症をおこすことがよく視られますが、(図1)臼歯 の不正咬合にはさまざまなパターンがあります。 |
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写真6 マイクロモータのラウンジバーNO3
写真7 開口器や開創器を使用して、口を開き、歯の状態を確認してマイクロモータ のラウンジバーNO2、NO3を使用して慎重に削る。 |
この症例は 下顎の左右の臼歯が内 側に伸びて舌炎をおこして食欲不振になっていました。 処置は過長の部分をマイクロモータで削ります。切歯同様ニッパの使用は臼歯の 根尖を痛めて、感染の原因になりますのでやめて下さい。マイクロモータのラウンジ バーNO2、NO3(図6)を使用して行います。過長歯はスパイク状になつて口腔内の粘 膜、舌を傷つけている場合が多く視られます。。過長の部分をマイクロモータで削り ます。舌鉗子を使用して口腔内の粘膜、舌を傷つけないよう注意深くおこないます。 回転数は3000回転を使用しています。(図7)今回の症例は初期的な疾患と言うこと もあり、麻酔開始から終了まで20分位でした。麻酔終了後15分で通常の状態に戻り、 与えたラビットフードも食べ出しました。 予後・臼歯は切歯と異なり、歯肉と平行になるまで削っても歯随は出てきません。 臼歯も常生歯であり、根治は不可能です。処置が甘いと次回の処置まで時間が短くな り、オーナーからクレームがつくこともあります。なるべく短く臼歯を処置をするこ とをお薦めします。また日頃牧草を多く与えてもらうことも必要です。本院での症例 は2-12ヶ月位の割合で通っている場合が殆どです。尚レントゲン検査必要性について は次号以後にご説明したいと思います。 |
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