犬猫の副甲状腺(上皮小体)機能亢進症

副甲状腺とは?  

 大きさは4-5mmぐらいで甲状腺の周囲にあり、副甲状腺ホルモンをつくる臓器です。2対4つ持っている。ここでつくられる副甲状腺ホルモンは血液中のカルシウム濃度を一定の範囲内に調節しています。健康な動物では、血液中のカルシウムが減ると、副甲状腺ホルモン(PTH)が増加します。そうすると、骨に蓄えられているカルシウムが血液中に溶かし出されてカルシウムが正常な濃度にもどります。


副甲状腺機能亢進症とは?

  副甲状腺機能亢進症とは、血液中のカルシウム(正確にはイオン化カルシウム)が正常またはそれ以上あるのに、副甲状腺ホルモンが必要以上につくられる病気です。

分類
一次性副甲状腺機能亢進症 なんだかの理由によりカルシウムがあがる一次性副甲状腺機能亢進症である。
二次性副甲状腺機能亢進症(栄養性、腎性) 幼若な猫で発症しやすく、ミネラルやビタミンのアンバランスな食餌により引き起こされる骨疾患です。かたよった栄養(肉のみとか)、腎疾患・骨の新生物、叉は感染症・リンパ肉腫など 飢餓・泌乳過剰・吸収不良・膵疾患・腎疾患に伴う二次性副甲状腺機能亢進症。あと腫瘍があることによりおこる副甲状腺機能亢進症があります。
腫瘍性副甲状腺機能亢進症 腫瘍性の場合は肛門嚢アポクリン腺癌(25%) 胸腺腫(25-50%) 多発性骨髄腫(20%) 悪性リンパ腫 縦隔型(15%) 多中心(5%) 高Ca血症 PTH関連蛋白産生腫瘍 広範囲な骨転移腫瘍 破骨細胞産生腫瘍の場合に多く発生する。

骨の中のカルシウムが減少して骨そしょう症(骨がやせてもろくなり骨折しやすくなる病気)になったり、腎結石(腎臓や尿管に結石が生じる病気)、消化性かいよう(胃・十二指腸などにできる)、膵炎などを引き起こすことがあります。


症状

多飲多尿・元気消失・失禁・血尿・運動不耐・全身衰弱・食欲低下などどんな疾患にもみられる症状が認められる。

この高Ca血症をそのままにてとおくと、骨粗鬆症や骨折の原因になります。椅子から降りたぐらいで骨が折れてしまいます。また腎臓への影響 として尿濃縮不能になり 遠位尿細管/集合管のpH感受性低下 がおき腎血流/GFR低下 します。上皮の変性/壊死/石灰化多飲、多尿 嘔吐 脱水がおきます。


診断

診断はCaとパラソルモン(PTH)とPTH様活性ペプチド(PTHrP)から診る。

パラソルモン(PTH)は副甲状腺特有のホルモンである。

PTH様活性ペプチド(PTHrP)は腫瘍細胞から放出されるPTH活性をもったペプチド。

どちらもintactで測定。intactとはN末端、C末端に抗体が結合。完全分子だけが検出されること。

PTH−intact 正常値(人) 三菱化学 14-66pg/ml  保険化学 10-55pg/ml

PTHrP 正常値(人) 三菱化学 1.1mol/ml以下 

血清カルシウム値 犬 9.0〜11.3mg/dl ・猫6.2〜10.2mg/dl ・人8.4〜10.1 mg/dl

総カルシウムの44-50%。生物学的活性をもつ。生物学的活性をもつ。PTH分泌をコントロールしている。残りは殆ど蛋白結合のカルシウムなので生物学的には不活性。

Albの濃度の変動に伴って上下する。

犬ではAlb濃度による補正 補正Ca=Ca(mg/dl)ーAlb(g/dl)+3.5 12以上

アシドーシスではイオン化カルシウムが若干増加。アルカローシスでは減少する。

簡単にいえばがカルシウム正常ならカルシウムの分泌を多くするPTHも正常で良いわけです。カルシウムが高いときは正常ならPTHは低いのがあたりまえです。血液中のカルシウムが減ると、PTHが増加します。そうすると、骨に蓄えられているカルシウムが血液中に溶かし出されてカルシウムが正常な濃度にもどります。

カルシウム値が正常にもかかわらずがPTHが増加する場合は副甲状腺機能亢進症という診断になります。また腫瘍がある場合腫瘍がPTHに似たPTHrPというホルモンを分泌して高いカルシウム値になることがあります。

まとめ

疾患 イオン化Ca PTH PTHrP
本態性上皮小体機能亢進症 増加 正常から上昇
二次性上皮小体機能亢進症 増加 正常から上昇
原発性腎疾患 減少 減少
悪性疾患 正常ー増加 減少 上昇
上皮性機能低下症 減少 減少

高カルシウム血症処置法

@0.9%NaCl 40ml/kg 細胞外液増加 GFR増加 Ca Na排泄増加 Aフロセミド 5mg/kg iv ヘンレ係蹄上行脚でCa吸収低下 Bプレドニゾロン 1mg/kg bid 腸管 骨からCa吸収低下 Cカルシトニン 4U/kg iv 破骨細胞活性低下。の報告がある。

低カルシウム血症処置法